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  • 被爆者が10万人を切った広島で、ラジオが挑んだ「新しい継承」――RCC『17歳。私がヒロシマを伝えるとき』が民間放送連盟賞最優秀に

    被爆者が10万人を切った広島で、ラジオが挑んだ「新しい継承」――RCC『17歳。私がヒロシマを伝えるとき』が民間放送連盟賞最優秀に

    被爆80年の節目に、民間放送の最高評価を得た1本のラジオ番組 2026年、日本民間放送連盟賞の中央審査会結果が発表され、中国放送(RCCラジオ)制作の『17歳。私がヒロシマを伝えるとき』(2025年放送)が、ラジオ報道番組部門で最優秀賞に選ばれた。 この番組が評価されたのは、被爆80年という節目に「被爆者なき時代」の記憶継承という難しい課題に真正面から取り組

    被爆80年の節目に、民間放送の最高評価を得た1本のラジオ番組

    被爆者が10万人を切った広島で、ラジオが挑んだ「新しい継承」――RCC『17歳。私がヒロシマを伝えるとき』が民間放送連盟賞最優秀に - 被爆80年の節目に、民間放送の最高評価を得た1本のラジオ番組
    被爆80年の節目に、民間放送の最高評価を得た1本のラジオ番組

    2026年、日本民間放送連盟賞の中央審査会結果が発表され、中国放送(RCCラジオ)制作の『17歳。私がヒロシマを伝えるとき』(2025年放送)が、ラジオ報道番組部門で最優秀賞に選ばれた。

    この番組が評価されたのは、被爆80年という節目に「被爆者なき時代」の記憶継承という難しい課題に真正面から取り組んだ点にある。番組には被爆者本人が出演していない。にもかかわらず、なぜ「報道番組」として最高評価を得たのか。その理由を整理しながら、この受賞が持つ意味を考えてみたい。

    何が新しいのか――「被爆者が出ない」被爆番組

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    何が新しいのか――「被爆者が出ない」被爆番組

    この番組の最大の特徴は、構成そのものにある。RCCのプレスリリースおよび配信された概要によれば、番組は「平和教育のいま」をテーマに、高校生とアナウンサーの対話を軸に、若い世代が被爆の実相や核兵器廃絶への取り組みをどう継承し、どう考えているのかを捉え直そうとしたものだ。

    つまり、被爆者の証言を「聞く」番組ではない。17歳の当事者――被爆から80年が経過した今、被爆を「経験」として持たない世代が、それをどう自分の問題として引き受けるのか。その思索の過程そのものを放送にしたのが、この番組の実験的な試みだった。

    2025年、被爆者数は初めて10万人を下回った。いずれ「被爆者のいない広島」がやって来る。その前提に立ったとき、証言という形式だけでは継承は完結しない。高校生とアナウンサーが同じ目線で問いを投げ合うというスタイルは、記憶の受け渡しを「対話」という形式に置き換えた、新しい報道のかたちと言える。

    受賞までの経緯――地区審査から全国最優秀へ

    この番組は、中央審査会の前に行われた中国・四国地区のラジオ番組部門審査会(2026年7月2日・3日開催)でも、報道部門の最優秀賞に選ばれている。地区審査を勝ち抜いて中央で再び最優秀に選ばれたということは、二段階の審査で評価が一致したということであり、番組の質に対する信頼度は高い。

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    なお、RCCは同地区審査会で『生ワイド部門』でも最優秀賞を受賞しており、2026年の地区審査において2部門を制した形になる。全国の中央審査で報道部門が最優秀に選ばれたことで、地区と全国の両方で頂点に立ったことになる。

    「民間放送連盟賞」が持つ重み

    日本民間放送連盟賞は、民間放送事業者による放送番組のコンクールとして長い歴史を持ち、各部門の最優秀賞は年間で数本しか出ない。ラジオ報道番組部門は、その中でも特に社会的関心を呼ぶ作品が並ぶ部門だ。

    この賞で「最優秀」を取るということは、同業のプロの審査員から「今年のラジオ報道番組の中で、これが最も優れている」と認められたことを意味する。配信された評価コメントには「リスナーと同じ目線に立って問題提起をする姿勢が、これからの報道のあるべき姿や平和教育の在り方を問い直す」とあり、単なる記録や追悼ではなく、報道の未来像を提示した点が評価の核心にあると読める。

    なぜ今、この番組が評価されたのか――3つの背景

    この受賞を「たまたま良い番組だった」という一言で片付けることはできない。2025〜2026年というタイミングには、いくつかの構造的な背景がある。

    ① 被爆者数の転換点

    被爆者数が10万人を切ったことは、単なる数字ではない。被爆者の平均年齢は80歳を超え、証言を直接聞くことができる時間は有限になっている。メディアが「最後の証言」をどう記録し、どう次の世代に橋渡しするかは、報道機関にとって喫緊の課題だった。

    ② 平和教育の「担い手」の変化

    従来、平和教育の語り部は被爆者やその遺族、教師、ガイドなどが中心だった。しかし、被爆体験を持たない世代が成人し、社会の中心になりつつある今、教育の担い手そのものが変わらざるを得ない。番組が「高校生とアナウンサーの対話」を選んだのは、この構造変化を反映した選択と言える。

    ③ ラジオという媒体の特性

    映像や文字ではなく「声」だけで構成されるラジオは、証言や対話の力を借りにくい媒体だ。だからこそ、出演者の言葉の重み、沈黙の質、問いの立て方がそのまま番組の強度になる。被爆者本人を出さずに番組を成立させる難しさを、ラジオで乗り越えたこと自体が、技術的にも挑戦的な試みだった。

    「被爆者のいない広島」への助走としての1本

    この番組を「被爆者不在の番組」と見るのは正確ではない。むしろ、被爆者が出演しないことを前提に、それでも記憶継承を止めないための設計をした番組だ。高校生が何を思い、何を語り、何に詰まるのか。そのプロセス自体を放送に乗せることで、「被爆者がいなくなった後にも続く継承」のプロトタイプを示そうとしたと読むことができる。

    RCCは広島に拠点を置く放送局であり、被爆に関する報道は社としての継続的なテーマだ。だからこそ、被爆者数の節目に「次のフェーズ」の番組を全国放送レベルの品質で作れたことには、ローカル局発の報道として意味がある。

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    受賞作を「聴く」側から見た実用情報

    受賞した番組そのものに関心を持った読者のために、配信されている情報をもとに整理しておく。

    • 番組名:『17歳。私がヒロシマを伝えるとき』
    • 制作: RCCラジオ(中国放送)
    • 放送年: 2025年(被爆80年の年に放送)
    • 受賞: 2026年日本民間放送連盟賞 ラジオ報道番組部門 最優秀賞(中国・四国地区審査でも報道部門最優秀)
    • テーマ: 「平和教育のいま」――高校生とアナウンサーの対話による被爆継承の在り方

    再放送や配信の有無、放送日時などについては、配信資料からは確認できない。聴取したい場合は、RCCラジオの公式サイトや番組表で最新の情報を確認するのが確実だ。

    この受賞が投げかける問い

    民間放送連盟賞の報道番組部門で最優秀に選ばれたということは、同業のプロが「この番組は今の日本に必要だ」と判断したということでもある。評価コメントが「これからの報道のあるべき姿」と表現しているのは、過去の名作として顕彰するのではなく、未来への問いとしてこの番組を位置づけているからだろう。

    被爆者が10万人を切った2025年、証言は「記録」になり、記録は「教育」になり、教育は「対話」になっていく。その連鎖の最初の環を、ラジオが作った。17歳の高校生が何を語ったのか、そしてアナウンサーがどう応答したのか。そこには、戦争記憶を次の世紀に持ち越すための、一つの具体的な方法論が示されているはずだ。

    参考情報

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